自賠責と任意保険の違いをわかりやすく解説｜一般社団法人 交通事故サポート協会【公式】
交通事故に遭われた方や、ご家族・支援者の方々から最も多く寄せられる質問のひとつが「自賠責保険と任意保険の違い」についてです。本記事では、協会として中立的・公的な立場から、制度の正しい理解と交通事故被害者支援の促進を目的として、両者の仕組みをわかりやすく解説します。
目次
自賠責保険とは
自賠責保険（自動車損害賠償責任保険）は、すべての自動車に加入が義務付けられている「強制保険」です。目的は、交通事故で被害を受けた方に対して最低限の補償を確保することであり、加害者の経済力に関わらず、被害者が適切な補償を受けられる社会制度として運用されています。
自賠責保険の補償範囲
自賠責保険の補償は人的損害に限られ、物損や車両の修理費などは対象になりません。
補償の上限額は以下のとおりです。
- 傷害：120万円
- 後遺障害：75万円〜4,000万円（等級により変動）
- 死亡：3,000万円
自賠責保険は「最低限の補償を確保する制度」であり、事故被害者の救済を社会全体で支えるための基盤となっています。
任意保険とは
任意保険は、その名のとおり加入は任意であり、必要に応じて個人や企業が選択する保険制度です。
任意保険の主な補償内容
・対人賠償保険（自賠責の上限を超える部分の補償）
・対物賠償保険（車や建物など物損事故への補償）
・人身傷害補償保険（契約者自身のケガの補償）
・車両保険（自車両の修理費）
・弁護士費用特約 など
任意保険は自賠責保険ではカバーしきれない部分を補完し、より充実した安全と安心を確保する役割を果たしています。
自賠責と任意保険の主な違い
（1）目的の違い
自賠責保険は「被害者保護」が目的、任意保険は「加害者・契約者の経済的リスクの軽減」が目的です。
（2）補償範囲の違い
自賠責は「人への被害のみ」、任意保険は「物損・示談代行・弁護士費用など幅広く対応」します。
（3）補償金額の違い
自賠責の上限額を超える損害が発生した場合、任意保険で不足分を補うことが一般的です。
（4）事故対応の違い
任意保険には示談交渉サービスが付いていることが多く、事故後の精神的負担を軽減する役割があります。
協会に寄せられた一般化した事例紹介
ここでは、協会に寄せられた相談を一般化し、制度理解に役立つ形で紹介します。
事例：福岡県内在住の30代男性（追突事故）
通勤中に追突され、頸椎捻挫で通院を開始。自賠責保険の補償上限を超える可能性が高いため、任意保険での対人賠償が適用されました。
協会は以下の点で支援しました。
- 自賠責と任意保険の役割整理
- 治療期間の適正化に関する情報提供
- 後遺障害申請の基礎知識の提供
制度を正しく理解することで、被害者本人が不安なく治療に専念できた事例です。
協会としての見解・方針・提言
●制度の理解を社会全体で高めることが重要
交通事故の補償制度は多層的で複雑です。協会としては、被害者・加害者・行政・医療機関・保険会社の全てが制度を理解し、適切に活用できる環境づくりが必要だと考えています。
●事故被害者の支援は社会的責務
私たちは、「交通事故被害者の支援」を社会全体の責務と捉えています。誰もが安心して生活できる地域社会をつくるためには、制度の正確な情報提供と公正な運用が不可欠です。
●啓発活動の推進
協会として引き続き、全国の事故相談や制度解説セミナー、医療・保険・行政との連携強化を推進し、より実効性の高い啓発活動を行っていきます。
参考リンク
お問い合わせのご案内
交通事故に関する不安や疑問がある方は、協会へお気軽にご相談ください。
▶ 交通事故に関するお問い合わせはこちら（一般社団法人 交通事故サポート協会）
相談内容に対して協会が直接示談交渉や保険交渉を行うことはありません。 中立的な立場から、制度理解・情報提供・必要な機関への接続を行う形で支援します。
最後に ― 協会の理念
私たち一般社団法人 交通事故サポート協会は、事故に遭われた方々が一人で悩みを抱えることのないよう、「制度の理解」を深めてもらう活動を続けています。
交通事故は、いつ・誰にでも起こり得る社会的課題です。だからこそ、正しい情報が届き、必要な支援につながる環境が欠かせません。
協会として、今後も「交通事故で困っている方を一人でも多く救いたい」という強い想いを持ち、社会全体の啓発と支援活動に取り組んでまいります。
すべての交通事故被害者が安心できる社会の実現を目指して。